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フォレストコラム

林業へ携わるすべての方へ。林業における日本の現状や先進国の状況等お伝えいたします。

ユンボを横転事故から救出!【小型エンジンウインチでの引き起こし動画あり】

ユンボ バックホー バックホウ ドラグ・ショベル 横転事故 救出 引き起こし 引き上げ 小型エンジンウインチ

当社は、林業機械の販売に並行して、日本の林業を勉強するため小規模ながら実際の林業を実践しています。
手始めに、宮城県川崎町に樹齢60年20町歩の広葉樹林を取得し、広葉樹の伐採と搬出を行っています。
これは、森林組合や林業会社などのいわゆるプロに外注してお任せするのではなく、当社の社員及び関係者だけで行っています。
自伐型林業推進協会にも加盟し、プロの指導をいただきながら、作業道の作設と伐採・搬出を施業し、ちゃんと利益が取れる林業を実現するための挑戦です。

その中で、小型ユンボは必需と考え、ヤンマーのViO35-6(いわゆる3.5トン)林業仕様を2019年12月に新規購入し使用しています。
作業道作りと搬出作業には大活躍のユンボ君ですが、言うまでもなく使用には十分な注意が必要です。
あまりの便利さに少し慣れと油断があったのかもしれません。
先日の作業終了直前に、横転事故を起こしてしましました。
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ユンボは足回りが小さい割にアーム類など上の方に重さがあり、不整地や傾斜地では不安定です。
縦方向はアームを使ったり排土板で踏ん張ったりも出来ますが、横方向のバランスは特に注意が必要です。
横転事故も常に念頭にあり、横傾斜やクローラーの踏み外しには細心の注意を払っていました。
しかし、右前方にあった支障木をワイヤーを使った横旋回で無理に引き出そうとした際、微妙な横傾斜と一気呵成の操作で簡単にバランスを失い横転してしましました。
幸いケガもなく済んだのですが、状況が悪ければ死亡事故になっていたかもしれない重大ミスです。
横転の状況は、作業道法面に頭を下げる形で、およそ120度ほど傾きました。
人力ではどうしようもなく、翌日何とかすべくその日は終了としました。
翌日、まずは自分たちだけで何とか解決できないかと思い、当社で販売している小型エンジンウインチVF105を使ってユンボの引き起こしにトライしました。
この小型エンジンウインチはイタリアのDOCMA社製でたったの54ccの2ストロークエンジンで駆動します。
牽引力は1050kgおよそ1トンありますが、重さ3.5トンの重機を引き上げるには非力です。
なおかつ、角度が悪くとても難しい作業条件です。
これで救出出来なければ、大型重機を依頼するしかないでしょう。
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シングル牽引では引けるはずもなく、最初は動滑車を使った2倍力でトライしました。
牽引角度を何箇所か変えながら引いては見るのですが、全然無理です。
少しは動くのですが、何度やってもそこから全く動かず、ロープがスリップしてしまいます。
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これでは無理なので、動滑車をあと2個増やし4倍力で再トライです。
すると、何ということでしょう、我がVF105エンジンウインチはグイグイ巻き続け、3.5トンのユンボの引き起こしをやってのけました。
それも、引き起こしのピークで簡単に止めたり引きの微調整ができる使いやすさです。
一気に引きすぎると勢いでユンボが強く地面に落ちてしまい、大きなダメージが心配されます。
ピークで一旦引きを止め、ほんの少しずつ引き、ユンボの自然落下を待ちました。
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結果は大成功です。
一晩逆さになっていたため、エンジンのシリンダーに燃料やオイルが溜まっているはずです。
慎重に何度も空クランキングして燃料を排除し、エンジンを再始動しました。
大量の白煙を吐きましたが、すべて正常に動作することを確認しました。
この小型エンジンウインチは、使い方によって様々な役立て方があると実感した貴重な体験となりました。
また、理論的には知ってはいても、動滑車を多用して4倍力や6倍力とすることで大きな力を発揮できることを目の当たりにしました。
これは本当に収穫でした。
この小型エンジンウインチが様々なシーンで活躍できることを確信しています。
是非多くの方々に体験してほしいと思います。
林業現場には常に危険が隠れています。
十分以上の注意と慎重さ、そして適切な機械を適切に使用することで安全マージンを十分に確保することが重要であると感じました。
今後の絶対安全を誓った貴重な1日となりました。