フォレストサプライ株式会社
tel:022-281-9833
LINEでお問い合わせ

フォレストコラム

林業へ携わるすべての方へ。林業における日本の現状や先進国の状況等お伝えいたします。

木質バイオマス発電が日本林業を救うのか

日本では、戦後の旺盛な木材需要と木材価格の高騰を背景に、殆どの木材資源が消費しつくされました。 今から50~70年前、山林主は目先の一時的な金銭に舞い踊ったのです。 規模は小さいながらも、私の生まれた家もそんな時代の波の中にあった林業を営む家でした。 切りつくされた山に、植林が実施されました。その殆どが当時の林野庁が推奨する杉でした。元々の植林地はもちろんですが、原生する雑木山も伐採されて植林地が拡大され、こんなところまで植えるのかという急斜面まで植林されました。
フォレストサプライコラム:木質バイオマス発電が日本林業を救うのか
そしてその後の長い間、日本林業は育てる林業となってしまい、山から新たに木材が出荷されることのない、お金の生めない産業になってしまいました。 杉は売れるように育つまでに50年以上かかります。一度伐りつくしたら次に売るものが無くなる、そんなことは、よく考えなくても誰でもすぐに分かります。でも、日本中がそうなっていったのです。 林業を起点とする製材所や材木商など、木材のサプライチェーンが大きく縮小し、流通が途絶えていきました。 最近本当に久しぶりに、しばらく見向きもしなかった山林に目を向けるとそこには立派に育った杉の大木がまさに林立し、圧倒される景観が広がっています。日本の森林は、いよいよ利用期に入ったと言えます。 現在の日本の森林蓄積量は60億㎥とも言われ、林業王国である北欧のスウェーデンやドイツの2倍を誇ります。そして、毎年1億8000万㎥以上増え続け、太り続けています。

しかしながら、一旦途絶えたビジネスの流れは、作り直すのに時間がかかります。さらに、以前の日本とは需要構造が大きく異なります。かつて主力だった住宅建築は、少子化と家余りにより減少傾向の上、住宅の作り方が全く変わってしまったため、一戸あたりに使われる木材の使用量がとても少ないのです。

この膨大な森林資源を上手に生かす方法はないのか。 いま、木質バイオマス発電が注目されています。 日本全国に230ヶ所ほどの木質バイオマス発電所が計画され、一部はすでに商業稼働しています。 これは、材木を小さなチップに粉砕し、それをエネルギーにして発電するものです。 熱エネルギーで換算すると、石油などの化石燃料に比べて、30%以上割安な燃料と言われています。
フォレストサプライコラム:木質バイオマス発電が日本林業を救うのか
木質バイオマス発電は大きく2つの方式に分かれます。 1つは、従来の火力発電と同じやり方です。 もう1つは、木質バイオマスガス化発電と呼ばれ、木質チップから可燃ガスを取り出し、それを燃料としてエンジンを回し発電する方法です。こちらは、火力発電方式と比べ、2倍以上の発電効率があると言われます。 比較的新しい技術で、本格利用はまだこれからというところでしょうか。 いずれにしても、石油や石炭資源の利用が少しでも低減され、日本中の森林資源が有効に利用されて林業がまた元気を取り戻す日が近いのではないかと、期待を膨らませているところです。